地方銀行が直面している商業不動産融資の問題が深刻化しています。

アメリカの銀行業界には、商業不動産市場の暗雲が立ち込めており、特に地方銀行にとっては大きな懸念事項です。

過去10年間、全国の地域銀行、特に田舎の銀行は、商業不動産ローンと関連する投資に積極的に参入し、大都市への資金供給を増やしてきました。しかし、現在、商業不動産市場は急速に衰退し、銀行業界全体にとっても経済にとっても巨大なリスクとなっています。このリスクは通常の報告よりも大きい可能性があり、これらのローンの損失が銀行の信用を損ない、不動産価格の更なる下落や追加の損失を引き起こす可能性がある「暗黒のループ」のシナリオが懸念されています。

現在の市場は、高い空室率と上昇する金利によって悪化しており、不動産ブーム時代の数年間にわたる融資拡大が影響しています。2015年から2022年まで、銀行は土地所有者に対する融資を2.2兆ドルにまで増加させました。多くの場合、これらのローンは小規模および中規模銀行から提供され、不動産価格の上昇に寄与しました。その上、銀行は商業不動産への露出も増やしました。

銀行の商業不動産への総露出額は、間接的な融資や不動産に関連する資産を含めると、ウォールストリートジャーナルによると約3.6兆ドルに達し、預金額の約20％を占めています。商業用不動産の販売は7月に前年同月比74％減少し、ダウンタウンのオフィスビルの売却も20年以上ぶりの低水準に達しています。

商業不動産への融資は地方銀行にとって重要な収益源であり、長らく地方銀行が主導してきました。しかし、2008年の金融危機以降、大手銀行は不動産セクターへの露出を減少させました。低金利政策は高収益を生む不動産ローンを保有することを銀行にとって魅力的にしましたが、連邦準備銀行が金利を引き上げたことで、この戦略がリスキーに見えるようになりました。銀行は預金者を引き留めるために高金利を提供しなければならず、今年初めには3つの中規模銀行の崩壊がシステム全体に危機をもたらす可能性があるという懸念が高まり、多くの小規模および地方銀行から預金が引き出されました。

また、債務不履行の不動産投資家が増加しており、銀行はローン額の調整を迫られています。場合によっては、銀行自体が物件を所有することになるかもしれません。

参考：WSJ

https://www.wsj.com/real-estate/commercial-real-estate-regional-banks-9f8f591d

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